関西電力黒部ルート見学会
その2 インクライン・黒部川第四発電所

撮影日 2008年11月12日


バスを降りると標高1325mのインクライン上部乗り場。
コンクリート打ちっぱなしの地下にピクトグラムも付いた都市近郊鉄道風駅名票がなんとも不思議な感じです。


見学者用のルート案内とホワイトボードの時刻表が掲示されています。


インクラインとは貨物運搬用のケーブルカー。中間地点ですれ違う交走式です。
人員輸送は取り外し式のA・Bの車体番号が付いている客室ユニットで行います。
地下にしては驚くほど高い天井には大物輸送に備えクレーンが設置されています。


車内に掲示されているインクライン概要図。456mの高低差、815mの距離を20分で昇り降りします。


車内の銘板。


地下を下るだけで車窓風景も見られないので、車内では黒部発電所などのビデオを上映。
2002年の紅白歌合戦で中島みゆきさんが上部軌道トンネルで熱唱した「地上の星」も紹介。


中間地点で交差、この画像では分かりにくいですが車体は通常のケーブルカーよりもはるかに大きいものです。


インクライン下部に掲示されている案内板。


下部から上方を見たところ。34度の角度で伸びるインクライン路線。
左手には階段が延々と続いています。非常時にはこの階段で昇り降りするとのことですが
訓練・点検以外で使われたことは未だにないとのお話でした。


インクライン乗り場から専用軌道乗り場に向かう途中、こんな場所がありました。
古い教会の内部のようです。


一見どこかの地下鉄駅かのような上部軌道黒部川第四発電所前。
見学者がいるあたりの右側が発電所の入口。


ここが名高き黒部川第四発電所、地下のおそろしく巨大な空間に4基の発電機が設置されています。
奥に4台見えるベージュの円筒が発電機の上部、ランプ点灯しているものが稼動中で
この日は奥から2番目の2号機は休止でした。
手前の円形のものは発電機の要となる水車。
一番奥の天井には発電機点検用のクレーンが見えます。
発電機点検はこの場所でクレーンで引き出して行うのでこれだけの高さ、広さが必要とのこと。


完全自動化された制御室、黒部川の発電所は現在みな無人化され通常は下流の愛本で遠隔操作されています。
前面のパネルには発電機の運転状況を表示。なんだかSF映画に出てくるような風景です。
横の扉を開けるとウルトラホークの格納庫に通じていてもおかしくないですね。


次は階段を降りて発電機のすぐそばへ。


ものすごい勢いで円柱が回転しています。水車はこの下に、ダイナモ部分はこの上になります。

ここで食事時間となりました。昼食場所として用意された会議室はとても地下とは思えない立派なもので
中央には黒部川周辺の巨大立体模型、回りには映画「黒部の太陽」に使われた小道具などが展示されていました。
となりの貴賓室にも工事に使用された機器の一部や黒部を紹介した書籍、紅白の台本まで各種資料が見られます。
黒部を舞台にした書籍では戦前の上部軌道工事を描いた吉村昭の「高熱隧道」
戦後の黒部ダム、関電トンネル工事の記録「黒部の太陽」があまりにも有名です。
新幹線と並ぶ1960年代前半の高度成長を象徴する大土木工事でもあったクロヨンは
中年以上の日本人には固有名詞というよりも普通名詞に近いものだったようで
かつては国鉄の急行に「くろよん」という列車もありました。
他に永六輔・中村八大の作詞作曲でデューク・エイセスが歌った「にほんのうた」シリーズの富山県は「黒部四代」
ダム造りを続ける人々の歌でそのまま関西電力のテーマ曲になってもよさそうですが
これはどこにも触れられていませんでした。
歌詞が先々代、先代とも事故で死んだとなっているからでしょうか?

食事休憩の後はいよいよ上部軌道乗車です。

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