39685保存会
さいたま市「市民の提案」回答への疑問点など

さいたま市の「わたしの提案」に投稿された市民の声に対する回答です。
「蒸気機関車」で検索すると投稿内容、回答が出てきます。
以下提案と回答をいくつか紹介します。

提案タイトル 蒸気機関車の検査内容情報開示について
 
提案内容 中央区役所前に保存されている蒸気機関車について、解体・撤去の決定の根拠となった全ての検査内容の情報開示をしてほしいです。
 
回答 当該蒸気機関車につきましては、希少性、保存地域との関係性等から鉄道文化財の要件と合致しないので、鉄道文化財とならないことを確認しております。
また、情報開示につきましては、行政情報開示制度をご利用いただくこととなりますが、蒸気機関車の検査に関する資料につきましては、本市が保有している行政情報は存在しません。



提案タイトル 蒸気機関車の撤去について
 
提案内容 中央区役所前に展示されている機関車が撤去されるという情報を聞きましたが、事実なのでしょうか。
もしも事実であるなら、解体せずに譲渡することは可能ですか。
 
回答 中央区役所前の蒸気機関車は大正9年の製造から96年、静態保存から44年経過しており全体的に部材の腐食・亀裂が進み地震等で崩壊する可能性があり、危険な状態です。
本市としては市民の安全を最優先と考え蒸気機関車の解体を決定いたしました。 
なお、史料的価値のある多数の部品は鉄道博物館での所蔵が決定しているほか、車両鋼材のJRによる保管など可能な限り有効活用されます。



提案タイトル 蒸気機関車の保存について
 
提案内容 中央区役所前に設置してある蒸気機関車を撤去せずに保存してほしいです。
鋼体の腐食が内部まで浸食していると言われますが、どのような方法で確認したのでしょうか。
蒸気機関車の保存整備活動をしているが、15年間整備されず雨ざらしのままで、もっと酷い状態の9600型蒸気機関車をクレーン2台でつり上げて運んだこともありますが、曲げ加重100トン以上の設計強度なので、躯体折損等の可能性は低いと思います。
 
回答 中央区役所前の蒸気機関車は大正9年の製造から96年、静態保存から44年経過しており鉄道事業者立会いの下、車両状態の確認を実施したところ、全体的に部材の腐食・亀裂が進み地震等で崩壊する可能性があり、危険な状態と判断されました。
鋼体の腐食が内部まで浸食しているため躯体折損等の可能性からクレーン車等による移設作業にも危険が伴うほか、区役所建物や構造物が近接しておりクレーン車を据え付けられない環境にあります。
なお、史料的価値のある多数の部品は「鉄道博物館」での所蔵が決定しているほか、車両鋼材の鉄道事業者による保管など可能な限り有効活用されます。

回答への疑問点

1番目 「希少性、保存地域との関係性等から鉄道文化財の要件と合致しないので、鉄道文化財とならないことを確認しております。」

9600形は全国各地に30両以上保存されています。鉄道博物館の150号(1号機関車)、1292号(善光号)、9856号のような現存1両の形式に比べると確かに希少性はありません。39685号の配置履歴ではさいたま市との関連性がないことも事実ですが、与野市、中央区のいわば顔として44年間展示されてきた機関車です。地域との関連性を撤去理由にあげるのは妥当でしょうか?
大宮機関区は9600形がその登場直後から蒸機廃止まで長く配置され、1969年まで川越線の通勤、通学列車の先頭にも立ち、広大な操車場では24時間何両もの9600形が入換の煙を上げていたという、まさに大宮を代表する形式です。
鉄道博物館には9600形は展示されていません、鉄道の町さいたま市の歴史を語る時に欠かせない形式であると考えています。
また与野では大正時代祭りが行われますが、旧与野市内に大正時代の建造物などは数少なく、本町通りの歴史的建造物も減少しています。
大正生まれの9600は市が提案する
>歴史的な建物や敷地を活用したイベントなどの開催
にも役立てるのではないでしょうか。


2番目、3番目 「地震等で崩壊する可能性があり、危険な状態と判断」

地震で崩壊とは機関車が崩壊すると判断したのでしょうか?打音検査など行ったのでしょうか?
39685号にはサビや鉄板の傷みが見られます。傷みが出ているのは外板(ケーシング)であり、機関車本体ともいえるボイラー、台枠は厚い鉄でできていて、簡単に折れたり曲がったりするものではありません。
先の熊本地震では、熊本城内の博物館に保存されている同じ9600形の69665号は転倒、脱線もせず被害は無かった模様です。
高森町のC12241号も同様に被害報告は確認できません。
東日本大震災では、南三陸町志津川のC5816号が転倒、ガレキに囲まれた様子が報道されましたが、転倒は津波によるもので、地震直後は機関車はそのままであったと言われています。宮古、釜石、仙台、一関などの保存機関車も被害は出ておりません。
唯一千葉県成田市のD51609号が脱線し傾きましたが、これは機関車が乗っているレールが機関車を下から眺められるようピットになっているという特殊な形態(実際の機関車整備場にも無い形)であり、路盤としての安定性に欠ける構造で機関車を支えきれなかったものと考えられます。
阪神淡路大震災では神戸市内の公園の小型機関車が土壌の液状化により地面にめりこんだ例はありますが、機関車そのものの老朽化により崩壊、という例は見当たりません。
今後も転倒の可能性は全く無いということは証明できませんし、市としては安全第一という姿勢も理解はできるのですが、安全のため撤去、というのはこじつけのようにも思えます。
静態保存の蒸気機関車が揺れに強い様子は下のイラストをご覧ください。


3番目 躯体折損等の可能性からクレーン車等による移設作業にも危険
上にも書きましたが、蒸気機関車の下部の台枠、上部のボイラーとも厚い鉄でできており、上下に分解できます。
過去に吊り上げ時に躯体折損等の事故が起こったことはいろいろな事故記録を調べても見当たりません、杞憂と言ってよいのではないでしょうか。


4番目 クレーン車を据え付けられない環境
機関車搬入からしばらくして行われた庁舎間連絡橋工事を紹介したよの市報にクレーン車を使った作業の写真が掲載されており、現地へのクレーン車配置は不可能ではないと考えています。
また仮設線路を敷いて機関車を数メートル移動してからクレーン作業を行うことも出来ると考えています。




39685保存会TOPへ

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

広告ポリシー