ペルシア湾通信
2004年7月1日

ミナブの水産加工工場

結構ホロ酔い加減の中、ミナブ市郊外、コレエの干潟の中にある水産加工工場に着きました。

 写真1、は工場上屋全景。土地は1万平米。
ジャハン氏が国から6年前に約2500万円で払い下げを受け、
コツコツと5年かけて操業再開にこぎつけたもの。
今、スペインの水産会社が1億5000万円で買いたいと言ってますが、
本人は売る気は無いみたいです。私も一応株主なんですけど・・・。



 写真2、は工場長のイザドヤリ氏。
彼はイタリアの東大みたいな大学で水産と機械工学の博士号を取った秀才。
今迄の13年間で会ったイラン人で一番知的です。ちょっとヒキコモリオタクっぽいですけど・・・。
「ドクター」(ハカセ)って呼ばれてます。ここへ来る前は国連のユニセフで働いていました。
私が会ったイラン人で唯一、「金勘定じゃない数字」、例えばイラン人の平均寿命が
58歳だとかがアタマにしっかりと整理されて入っている人物です。



 大体フツウのイラン人は、こっちが工場見学に行って生産能力なんか訊いても
「沢山」とか「ちょっと」って表現しか出来なくて、その場に居る「専門家」をつかまえて訊くと
答える数字が全部デタラメで、しかもそのギャップが人によって10倍くらいありますからね。

 それからイランは歴史が古い割りにイスラム以前の歴史が都合悪いらしくて
いい加減に教育してるせいか、5万年と500年の区別もハッキリしない奴が多いんですよ。
雄大な景色を見ながら、「こんな景色も500年経ったら無くなるんだろうなあ!」
なんて真面目な顔で言いますからね。そーゆーのは1人だけじゃないですよ。
そこへいくと「ドクター」は、「去年のイランの乗用車生産台数は37万台だ」とか、
「コレにはビタミンAとCが豊富だ」とかみのもんたみたいな事を言いながらランチ食べてますからねえ。
イランには100万人に1人も居ないキャラしてますよ。

 写真3,4,5,6、は工場設備の一部で、今は休み時間です。
操業時間は午前2時から昼までで、魚は市場から午前4時頃入ってきます。
多い時は女子パート社員が150人以上働いています。
ここには魚や海老をサイズ別に分け、骨と肉を分け、
真空パックや箱詰めして冷凍するところまで整っています。
最近はサフランやスパイス、それに醤油で味付けしたパック詰めも始めました。
今は1日平均10トンの魚を加工しています。
これらの機械は全てノルウェイ製で高品質感が漂っています。




 写真7,8.はマイナス22度の冷凍室内のこの日の朝入ってきた7トンの魚です。
私はデンシャとジドウシャの事しか分からないので、馬鹿な話、これが何の魚かサッパリ分かりません。
でも、刺身にしたら最上のカツオの味がしましたよ。
残りをニンニク醤油漬けにしたらメチャクチャ美味かったです。思い出しただけでもヨダレが出ます。
残念ながら鉄火丼は米が違うしバターなんか入れられちゃうので喰えたものではありませんけどね。
ここでは色んな魚が採れるし、あと1ヶ月で日本から魚屋が来るので
そいつに刺身をつくってもらうのが今から楽しみなんです。
日高昆布なんかわざわざ持ってきてダシをとるような奴ですからねえ。
あ、そうそう、この辺にはウニなんかうじゃうじゃ居るんですけど、誰も食べません。
満月の夜に採って食べると美味いです。
これだけでも茹でて冷凍して日本に送ったら大儲けできそうですよ。



 写真9、はラボラトリーで、その場の抜き取りサンプルによる衛生管理や品質検査をやります。



 写真10、は日本の「中野冷機」製冷凍庫。美味しそうな海老が貯蔵されています。
ここから海老を取り出して夕飯にする事にしました。
中野冷機はアメリカのハッスマンと提携してたので、補給部品も共通でイランでも入手し易いんです。
まだ1度も壊れてませんけどね。




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