関西電力黒部ルート見学会
その4 関西電力専用鉄道(上部軌道)

撮影日 2008年11月12日

上部軌道用人車車内、定員12名とのことですが実質10名でいっぱいでした。
高熱隧道通過時に窓が曇るので手動式ワイパーが窓外・内についています。
シートはこの手の車両によくあるビニール貼りではなくモケットを貼った一般営業車両並です。


発車前に添乗職員さんから上部専用鉄道についての説明がありました。
左上にはアルナの銘板が見えます。耐熱仕様の特殊車で小さいながら1両1千万円とのことです。


黒部川第四発電所前を発車して100mほど行くと紅白で中島みゆきさんが
「地上の星」を歌った場所を通過、案内パネルが壁面に設置されています。
添乗の職員さんはこの時立ち会われていたそうで、裏話もいろいろご披露されました。

中継場所は黒部、青函トンネルなどいくつかの候補から中島さんが黒部を選んだ。
NHK40人、ヤマハ60人の100人規模の大部隊だった。
至上命令は「絶対に停電させるな!」電力会社ですからね。
器材は100Vだが現地で使っているのは200V、変圧器を臨時に設置するなど電気のお膝元なのに電源確保が大変だった。
放送後全員にふるまった年越しそば100人分の調理も大変。
イントロで「プロジェクトX」オープニング風に歩いてゆく職員が写るがあれは自分、当初予定にはなかった。
みゆきさんも演奏者も吐く息が白くないがあれは体が冷え切っていたから。
本番では一瞬歌詞を間違えたがリハーサルは何度もやってそのときは完璧だった。

とまるで「プロジェクトX」本編が1本できそうなお話でした。
あの中継をアフレコじゃないの?という人もいますが、歌詞を間違えたことで生中継だったことが
逆に強調されたようにも思えます。(2番の♪名だたるものを追って、のところを♪地上にある星を と歌った)
間違えた後瞬時に歌詞テロップを消したNHKスタッフもすごいものだと今さら感じ入ってます。

関西電力サイトにも舞台裏のお話が掲載されています。

話が脱線してしまいましたが、この路線車窓は全く楽しめないので添乗職員さんもいろいろお話されたり
写真を撮ってくれたりと見学者を飽きさせないよう工夫されているようでした。

手製のファイルで高熱隧道掘削の様子を説明されています。
専用軌道には途中4箇所の交換停車場が設置されていますが、見学用列車は唯一の地上区間仙人谷駅以外は通過します。


仙人谷に到着、黒部川にかかる橋梁上です。積雪に備え完全に屋根で覆われています。


ここにも立派な駅名票と時刻表が掲示されています。列車番号も表示されています。
仙人谷の次は欅平となっており、見学コースで停車しない途中駅は表示されていません。


この鉄橋から欅平方面が「高熱隧道」区間です。


職員さんに許可を得てトンネル入口を撮影、暖かい風と硫黄の臭いが漂っていました。


橋梁上は線路は片側に寄せられており、乗降スペースが確保されています。
ここは仙人谷ダムや職員宿舎があり、このときもここから関電職員さんが数名列車に乗り込みました。


上流には仙人谷ダム、この専用軌道はこのダム建設のために造られました。
ダムの背後には剣岳が聳え立っています。


高熱隧道区間を通過すると素堀の区間もあります。
この画像は添乗職員さんに撮影していただいたものです。
一般鉄道よりはるかに小さいトンネルなので顔出しなどはもっての他です。


仙人谷停車時間を含め30分強で欅平上部に到着、見学者用に出入り口には踏み台が置かれます。
この路線は1941年(S16年)に欅平から仙人谷まで開通、戦後黒四発電所建設のため
1963年(S38年)仙人谷から黒部川第四発電所前まで延長されました。
欅平は戦前に造られたため改修されているとはいえ古さが目立ちます。


欅平から仙人谷方面を見ています。


人車は全部で10両使用とのこと、ハ174は最新グループで2004年アルナ製。


到着後すぐに機回しするBB72。


手旗の誘導で機回し線へ。左には待合室、右には駅務室があります。


振り返ると黒部峡谷鉄道欅平駅から延びる専用線に接続する大型エレベーター、その向こうに貨車が見えます。


上部軌道では人車は専用車ですが、貨車は黒部峡谷鉄道と共通で使われています。
後の洗剤も置かれた家庭用シンクがなんとも場違いな不思議な空間です。


エレベーターで降りる前に横坑から展望台へ、紅葉の山を前衛に北アルプス主稜が青空に聳立していました。
場所的には欅平駅の上方ですが、欅平からはこれだけのパノラマは見られません。


横坑見学から戻るとエレベーターで上がってきたのでしょうか、
ゴミ運搬用コンテナ「峡谷美人」をのせた貨車含め6両編成になっていました。


汎用貨車3t積みのトにコンテナを載せています。


欅平上部から下部へ日本最大級の大型エレベーターで一気に200m下がります。




エレベーターを降りると欅平から伸びてくる専用線乗り場です。
ここから乗車する黒部峡谷鉄道線の客車が推進運転でやってきました。
ナローサイズの黒部峡谷の車両もとなりの上部軌道直通用のワに比べると大きく見えます。


列車は一旦引き上げてスイッチバックで欅平構内に到着します。


欅平の入換には古豪の凸形機関車ED9〜11が使われています。


1934年製のED10が上部軌道から降りてきたワ9を連れて入換中。


欅平で発車を待つ工事用列車にはこんな積荷も。


見学会は欅平駅到着で終了となりました。ここからは黒部峡谷鉄道の定期列車で宇奈月に下ります。
時間にして3時間半弱、距離で20km弱、移り行く車窓の楽しみこそありませんが
多様な乗り物を乗り継いで他では見られない、体験できない見学会でした。

終着駅 欅平へ


参考リンク
関西電力黒部ルート見学会のご案内
富山県黒部ルート見学会

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